7.ワンルームマンション投資特有の事情による失敗例

マンション投資を行う場合、「ワンルームマンション」も投資物件の候補に上がる場合があります。「ワンルームマンション」とは、ひとつの居室にユニットバス、トイレ、キッチンがセットになった単身者向けマンションのことです。部屋数の多い一般的なファミリー向けマンションとは異なるため、不動産投資を行うときは特別な注意が必要になります。

今回は、「ワンルームマンションに投資する場合に注意すべきことを学ぶために、ありがちな失敗事例や、失敗を防ぐための方法をご紹介しましょう。

 

◆ワンルームマンション投資にありがちな失敗事例
・「好立地で最上の物件」に人気が集中しやすい
ワンルームマンションはファミリータイプと比べて、物件の立地が入居者需要へ及ぼす影響が大きいという特徴があります。なぜなら、ワンルームマンションの入居者は基本的に単身者であり、ファミリータイプの入居者である家族層と比較して引っ越しを行うのが容易だからです。

少し考えてみてください。子ども2人と夫婦2人の4人家族の場合、夫や妻の職場への通勤距離や、子どもの学校や幼稚園までの距離など、家族全員の都合を考えて物件を選ばなければなりません。そのため市場全体としては「多様な需要」が存在することになり、駅から多少遠い物件でも入居を希望する人が一定層存在します。

しかし、単身者の場合は単純に自分の都合だけで入居先を選ぶことが可能です。結果的に単身者の需要は家族層よりも特定の利便性が高い物件に集中しやすいという特徴を持っています。具体的には、たとえば交通の便がいい駅周辺の、最もデザインが洗練された新しい物件、というふうに、その地域で「最も競争力のある物件」に人気が集中しやすいので注意してください。

ファミリータイプのマンション投資と同じような考えで、「マンション需要の少ない立地の物件を選んでしまった」、「いい立地を選んだものの、物件は2番手、3番手のものを選んでしまった」といったような選択が原因で失敗してしまうケースもあります。

・売却価格がファミリータイプよりも安くなる
ワンルームマンションは部屋数が少ないため一般的にファミリータイプと比べて安価です。従って購入費用を抑えられるという利点もありますが、逆に購入したマンションを手放す際の売却価格もファミリータイプより安くなってしまうので注意しましょう。

マンション投資を行う場合は、家賃収入だけでなく将来の売却益も合わせて利益を得る想定で運用する場合が少なくありません。このようにマンションの売却利益が得られることを前提とした投資を行い場合、ワンルームマンションはファミリータイプほど高くは売れないことを忘れないようにしてください。そうでないと、売却時に思ったほどの利益が上げられず、採算が合わなくなってしまう可能性もあるからです。

・購入価格が安くなるため、節税効果が薄い
不動産投資による節税効果は、不動産の購入価格が高いほど大きくなります。購入時に支払った金額を「減価償却費」と呼ばれる帳簿上の経費として、マンションが利用可能な期間、毎年計上することによって、所得税の節税が可能になるからです。先ほどご説明したように、ワンルームマンションはファミリータイプほど購入価格が高くならないので、この減価償却費による節税効果はファミリータイプよりも少なくなってしまうことになります。

たとえば、ファミリータイプを選んで投資していたら毎年数百万円の減価償却費を計上できたものが、ワンルームマンションを選んだために数百万円程度しか計上できなかった、という事態も十分考えられるわけです。

 

◆ワンルームマンション投資は通常のマンション投資よりハイリスク?
以上のように、ワンルームマンションが抱える特有の事情が、投資失敗の原因になってしまうことも決して少なくはありません。しかし、それは必ずしも「ワンルームマンション投資は、通常のファミリータイプに投資するよりもハイリスクである」ということを意味するわけではありません。以下のようなことに気をつけていけば、失敗を避けて賢く投資を行うことも十分に可能なのです。

 

◆ワンルームマンション投資に失敗しない対策
①好立地で、最も競争力のある物件を選ぼう
ワンルームマンションの対象者は単身者なので、ファミリー層よりも身軽であり、好立地かつ最新・最高クラスの物件に人気が集中しやすいという特徴を持っています。言い換えると、そういった条件に当てはまる物件を選んで投資すれば失敗を避けることも可能です。

ファミリータイプのマンションの場合、市場のニーズが多様なためさまざまな物件が選ばれる可能性がありますが、それは「入居者のニーズを読むのが難しい」と捉えることもできます。一方、ワンルームマンションの入居者ニーズは非常にシンプルなので、「ニーズに沿った物件選びを行うのが比較的容易である」と捉えることで、この点は逆にメリットと考えることもできるでしょう。

②単身者が暮らしやすいエリアを選ぶ
ここでいう「単身者が暮らしやすいエリア」とは、単に交通の便がいい場所という意味ではありません。商業施設の充実度や、公共施設までの距離といった、周辺環境を総合的に判断しなければなりません。

特に、一人でも生活しやすい条件が整っているかどうかが重要なポイントです。たとえば、「周辺にコンビニエンスストアの数と種類は充実しているか」、「体調が悪くなっても、1人で通える距離に病院があるか」というふうに、単身者にとっての暮らしやすさを重視して投資エリアを決めましょう。

③売却ではなく、運用で利益を上げることを前提とする。
ワンルームマンションは、ファミリータイプに比べて資産価値が少なくなるため、購入費用は抑えられますが売却価格もそれほど高くはなりません。

従って売却によって利益を上げるより、運用で利益を上げることを目指す方がいい選択になるといえるでしょう。基本的に一度購入したらメンテナンスやリノベーションを行い、可能な限り長期間運用して利益を上げることを目指してください。

もちろん、ファミリータイプと同じく本格的に老朽化が進み、運用が難しくなる前に売却して別の物件に投資すること自体は悪い方法ではありません。しかし、あくまでそうした物件の売却は「運用資産の見直し」のために行うのであって、売却して利益を得る目的で行うわけではないということを忘れないでください。

 

◆ワンルームマンション特有の事情は、欠点だけでなく利点にもなりうる
冒頭で申し上げたとおり、ワンルームマンションは、独自の特徴を持っているため、通常のマンション投資とは違った注意が必要になります。しかし、そうした独自の特徴にどのように対処していけばいいかという点さえ忘れなければ、利益を上げることは十分に可能です。

ファミリータイプのマンション投資と比較しても「購入費用を抑えて投資を始められる」など、ファミリータイプにはない利点もあるので、単純に「ファミリータイプへの投資よりハイリスクである」とは言えません。むしろそうした利点を活かしていけば、ファミリータイプよりも上手にリスクをコントロールしていくこともできるはずです。

ワンルームマンション投資に興味を持っている方は、今回ご紹介した失敗例と対策を参考に、賢くワンルームマンション投資を行ってください。