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1-2.不動産投資で節税をするリスクとは

不動産投資で節税をするリスクとは?

1-1の記事では、マンション投資は節税になるケースについてご説明しました。では、これらのケースに当てはまれば、節税対策としてマンション投資を行ってもよいものなのでしょうか。もし節税対策でマンション投資を行うとして、どのようなリスクがあるのか、もう少し掘り下げて考えてみましょう。「節税はできても結局多くの税金や経費がかかり、手元に残る資金は減ってしまうかもしれない」という観点でご説明します。

 

不動産を所有することで支払わなければならない税金がある

マンションに関わらず不動産を所有することにより、さまざまな税金がかかることになります。それぞれの税金について説明します。

 

◆固定資産税

不動産の価値に応じて課税される税金です。課税するのは地方自治体であり、場所によっては「都市計画税」が上乗せされます。所有者(家主)が支払う税金であり、その不動産を賃貸している人は支払う義務がありません。

 

毎年1月1日の時点で所有している不動産に対して課税されるものであり、もし年の途中に取得した場合は、所有期間に応じて計算されます。

 

【固定資産税の計算方法】

固定資産税 = 固定資産税評価額×標準税率(1.4%)

 

「固定資産税評価額」は、行政によって定められるその土地の価値です。この価格は3年に一度見直されることになっています(2018年に改訂予定です)。

 

固定資産税評価額については土地によって異なりますが、次のような方法で調べることができます。

 

・納税義務者に送付されてくる固定資産税の「課税明細書」を見る

・役所で閲覧することができる「固定資産課税台帳」で調べる

・役所に「固定資産評価証明書」の取得申請をする

 

なお、200平方メートル以下の「小規模住宅用地」であると、特例として減額措置をうけることができます。マンションについては、「敷地全体の面積÷建物全体の戸数」が一戸あたりの土地として計算されます。

 

これらの説明は市町村長のHPなどで細かく説明されていますので、都市計画税などとあわせて確認することをお勧めします。例として、次の都市のホームページをご紹介します。

 

東京都主税局/固定資産税(土地・家屋)・都市計画税

http://www.tax.metro.tokyo.jp/shitsumon/tozei/index_o.htm

 

大阪市/住宅用地の課税標準の特例措置

http://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000239753.html

 

金沢市/固定資産税の住宅用地の特例とはどのようなものですか。

http://www4.city.kanazawa.lg.jp/qa/13070/FAQ566.html

 

 

◆不動産取得税

売買、贈与、交換などによって不動産を取得した際の税金です。新築、増築の場合も対象となります。相続についてはこの不動産取得税がかかりません。

 

行政から納税通知書が送られてきますので、これにより金額を確認、支払いをすることができます。送付時期は自治体により異なります。また、新築、増築は評価額を決定してからとなるため、翌年に納税します。

 

【不動産取得税の計算方法】

不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 4%

※ただし、住宅の場合は3%(平成30年3月31日まで)

 

◆売却する際にかかる税金

不動産を売却する際には、以下の3つの税金がかかる可能性があります。

 

①譲渡所得税

②住民税

③印税

それぞれをご説明します。

 

①譲渡所得税

「譲渡所得」とは、文字通り不動産を譲渡した際の所得です。所得に対して課税されるため、もし購入した際よりも低い価格で売った場合=利益が出なかった場合には、この税金はかかりません。

 

「課税譲渡所得金額」については、次のように計算します。

課税譲渡所得金額=譲渡価額―(取得費+譲渡費用)-特別控除額(一定の場合)

 

取得費…不動産の購入代金や仲介費など。ただし、減価償却費相当額を控除。譲渡費用…不動産譲渡のためにかかった諸々の費用。

特別控除額…それぞれのケースにより控除される金額は異なります。なお、一般的な投資の場合は貸付用として3,000万円となります。

 

国税庁ホームページ/土地や建物の譲渡所得に対する税金

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/html/05_2.htm

 

「課税譲渡所得金額」確定後、税金を計算します。

 

【譲渡所得税の計算方法】

譲渡所得税 = 課税譲渡所得金額×税率

 

税率については、土地や建物を売った年の1月1日現在で、以下の所得年数別に設定されています。

 

・土地や建物の所有期間が5年を超える…「長期譲渡所得」=15%

・土地や建物の所有期間が5年以下…「短期譲渡所得」=30%

 

②住民税

住民税は①の「譲渡所得」に課税されます。つまり、①がなければ②も発生しません。

 

・土地や建物の所有期間が5年を超える…「長期譲渡所得」=住民税5%

・土地や建物の所有期間が5年以下…「短期譲渡所得」=住民税9%

 

税率については①と②を加算することになります。

平成49年12月31日までは「復興特別所得税」として2.1%が加算されるため、次のような計算式になります。

 

国税庁ホームページ/復興特別所得税の源泉徴収

https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2507.htm

 

長期譲渡所得

課税譲渡所得金額×①(15%×2.1%)+②5% = 20,315%

短期譲渡所得金額×①(30%×2.1%)+②9% = 39.63%

 

③印紙税

取引の金額に応じた印紙税を支払い、不動産売買契約書に収入印紙を貼付する必要があります。印税額についてはこちらを参考にしてください。

 

国税庁ホームページ/印紙税額の一覧表(その1)

https://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7140.htm

 

※黒字でも経営に行き詰る可能性「不動産のデッドクロス」

所得税に関するリスクとして、「不動産のデッドクロス」と呼ばれる状態も考えなければなりません。

 

【不動産のデッドクロス】

「減価償却費」がローンの元金返済額を上回ってしまう状態のこと。

 

減価償却費とは、不動産購入にかかった経費を一度に計上せず、不動産所有期間の何年かに分けて計上する、その金額のことです。

 

・減価償却費は経費として計上できる=現金が出て行くわけではない

・ローンの利息は経費にできる(利息しか経費にできない)

 

最初はこのような状態でマンションの管理が始まります。節税の効果は大きく、手元に現金を残しやすい状態です。

 

ところが、ローンの支払いが進むと利息は小さくなり、経費として計上できる金額も小さくなってしまいます。

 

① 経費計上が減り、黒字は大きくなる

② しかし、ローンの支払いはあるので現金が残らない

=「経費にはできないけれど、現金は出て行く」という状態

③ ②のような状態が進む

…減価償却費よりローンの支払いのほうが大きくなる

 

これが「不動産のデッドクロス」と呼ばれるものです。

 

帳簿上は黒字であるため、所得税の金額は大きくなります。そうなれば、節税の効果はまったくなくなるどころか、キャッシュフローが破綻してしまいます。

 

不動産を所有することで支払わなければならないその他の費用

不動産を所有することで、税金以外にも費用がかかります。マンション投資を含む不動産投資物件の管理は、次の2つに分けて考えられます。

 

【PM】

プロパティマネジメント。入居者に関連する管理のことです。例えば次のようなものがあります。

 

・賃貸契約、入居契約などに関する業務

・リーシング(賃貸による収益を確保する業務。入居者探しなどもこれに含む)

・入居者への対応(住居環境整備、家賃の回収や催促)

・その他、不動産管理に関わる手配全般

 

【BM】

ビルマネジメント・ビルメンテナンス。例えば次のようなものがあります。

 

・建物の維持に関する全般(掃除、設備管理)

・防犯や消防などに関する管理

・庭や駐車場など建物周辺の維持、管理など

 

上記にはそれぞれ費用が掛かります。また、保険料なども必要になります。このような費用がかかることを踏まえ、黒字経営できるか考えなければなりません。

 

以上、不動産を所有することでかかる費用について説明しました。マンション投資により節税ができたとしても、マンションを所有することによる費用が大きくなり、赤字となるリスクは大きいものです。こういったことも配慮し、マンション投資に踏み出すべきかを考えましょう。