利回りとは?利回りが良ければ「買い」なのか
「投資においてどれほど利益を得られるか」の割合を「利回り」と呼びます。
なお、不動産の利回りには大きく分けて「表面利回り」と「実質利回り」があります。
投資はまずこういった用語をきちんと把握することから始めましょう。
どのような仕組みで利益を得られるのか理解することで、より有利な投資を目指すことができます。
利回りの意味と計算方法
利回りとは、「投資した金額に対し、1年あたりどれほどの収益を得られたか」という投資効率を数字にしたものです。
この「利回り」は不動産投資に限らず、株式投資や金投資など、さまざまな種類の投資で使われる考え方です。
簡単に言えば次のようになります。
「100万円をある案件に投資して、利益は20万円だった」⇒利回りは20%
利回りが高いほど効率的に稼げる物件であり、よい投資先だと言えます。
【利回りの計算式】
利回り = 年間利益額 ÷ 投資額 × 100
この計算を使うと、単純な利益の金額に誤魔化されず、「投資先として優秀な物件かどうか」を判断することができます。
不動産投資における「表面利回り」と「実質利回り」
不動産投資では、主に2種類の利回りについて理解する必要があります。
なお、不動産投資で得られる利益にも次のふたつがあります。
・不動産を保有し、それを人に貸すことによる、定期的な「賃料」を得る
=インカムゲイン
・保有する不動産の値段の変動を利用し、利益を得る
=キャピタルゲイン
ここで説明する利回りについては、「インカムゲイン」についてのお話です。
◆表面利回り
文字通り、表面上の計算だけで計算する利回りです。不動産投資ではさまざまな経費がかかるものですが、そういった経費を一切無視し、「家賃収入」だけで利回りを計算します。
先程の式【利回り = 年間利益額÷投資額 × 100】に当てはめると、次のようになります。
表面利回り = 年間の家賃収入 ÷ 不動産の購入額 × 100
◆実質利回り
表面利回りが家賃だけで計算するのに対し、実質利回りはより実際に近づけて計算する利回りです。
家賃収入から、経費となるものを差し引いて計算します。
実質利回り = 年間の家賃収入―年間経費 ÷不動産の購入額 × 100
※経費については次のようなものが含まれます。
固定資産税(都市計画税が追加される場合もあり)、建物管理費、修繕積立金、賃貸管理会社への管理費、火災保険・地震保険などの損害保険料、税理士・弁護士などを利用した場合の報酬
実質利回りのほうがより参考になるものですが、経費などが不明な場合は表面利回りで考える必要があります。
実質利回りに比べれば、表面利回りは「目安」程度です。
なお、「想定利回り」といい、「アパートなどが満室である場合を想定しての利回り」もあります。
これはあくまでも最高の条件で計算されたものですので、気を付けるようにしましょう。
利回りだけで収益物件を選んではいけない理由
さて、いざ物件を購入するというときには、やはり「利回り」を確認する必要があります。ここでは、収益物件(インカムゲインのある物件)の利回りの相場についてお話します。
◆利回りの相場
実際に流通している投資用不動産の実質利回りは、次のような数字です。
・都内の投資用中古マンション…4%~6%
・都内の投資用新築のマンション…2%~4%
利回りだけでは中古マンションのほうが数字は大きく、有利であるように見えます。
しかし、「なぜこのような利回りになるのか」を理解しておかないと、利回りだけで物件を選んでしまうことになり、危険です。
◆中古物件の利回りが高くなる理由
たとえば、築10年程度の中古マンションを「表面利回り」で見てみると、8%を超えるところもあります。
表面利回りであることに注意しつつ、なぜ中古物件では利回りが高くなるのかまで考えてみましょう。
【中古物件の利回りが高くなる大きな要因】
イニシャルコストが低い(物件本体の購入価格が安い)
中古物件は新築より購入価格が低くなるため、利回りの計算式にあった「経費」が小さくなります。
さらに、賃料は新築に比べて大きくことなるとわけではないため、年間収入が新築よりも大きくなります。
◆新築・中古に関わらず「利回りが高い=よい物件」ではない
利回りが高い物件は、高い収益を得られる可能性が高い物件です。
ですが、利回りだけで物件を選ぶ危険性はよく理解しておきましょう。
利回りが高い物件が、投資に適したよい物件ということではないのです。
利回りが高くとも、次のようなリスクのある物件でないかどうかまでを踏まえ、物件を選ぶようにしましょう。
①空室のリスク
常に借主が見つかる保証はありません。
賃貸ニーズが低いエリアは空室リスクも高くなるため、エリアの特徴を知ることが重要です。
※なお、既に触れた「想定利回り」の場合は「満室を想定しての利回り」であり、さらに注意が必要となります。
また、エリアとして空室リスクが低くても、物件の仕様(部屋の内容)、設備などに問題はないかを確認する必要があります。
【空室リスクが高い物件】
・駅から遠い、買い物に不便、近所に学校がないなど、不便なエリアにある
・河川の氾濫や土砂崩れなどの災害の危険性が高いエリアにある
・犯罪の多いエリアにある
・部屋や設備の形・型が古く、現在のニーズとかけ離れている
②建物に関するリスク
高い賃料で賃貸できる建物であったとしても、その維持や管理に経費がかかるようでは将来における大きな赤字リスクとなります。
「現在は問題ない」としても将来的にはどうなのか、危機感を持つべきでしょう。
また、部屋の間取りや仕様そのものの特徴もリスクに繋がるものがあります。
【建物に関して経費や労力がかかる可能性のある物件】
・築年数が古い
…建物や設備が老朽化しているため、改善のための費用が必要になる
…建物や設備の形・型が古く、一般的な修繕費に上乗せが必要になる
…設備の入れ替えが必要になる
・間取りが現在のニーズに合っていない、「今風」ではない
③過去の入居者・管理者に関するリスク
①と②においてまったく問題のない物件でも、建物や部屋の歴史によってリスクが生じる場合もあります。
思わぬ落とし穴になることもありますので、注意が必要です。
借主や周囲とのトラブルの発生リスク、空室リスク、家賃減額のリスクなど、さまざまなリスクに発展する可能性があります。
【収益を落とす可能性のある入居者・管理者】
・家賃、管理費などに延滞がある
・なんらかの事故を起こしたことがある/事故物件となった原因である。
④家賃が相場より高いことによるリスク
「家賃が相場より高く設定されている」というのも、赤字リスクに繋がる可能性があります。
建物や設備の特徴による家賃設定であれば問題がないことは多いのですが、物件の価値に見合った家賃でなければ今後維持することはできず、現在の利回りでの収益を得ることはできません。
相場については次のようなサイトを利用し、調べてみましょう。
不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME’S
家賃相場 https://www.homes.co.jp/chintai/price/
不動産・住宅サイト SUUMO
家賃相場 http://suumo.jp/chintai/soba/
利回りは収益物件を選ぶ「ひとつの要素」
高利回りの物件は、収益が大きく、赤字を防ぐことができます。
しかし、高利回りでも、赤字リスクはあります。
利回りはあくまでも計算上のものとして考え、収益物件を選ぶひとつの要因として考えるようにしましょう。
重要なのは、利回りに加え、「どんな物件であるか」をさまざまな観点から把握して判断することです。