マンション投資は多くの費用がかかるため、もし失敗してしまうと多額の損失を被ってしまうことになります。
それを防ぐにはよくある失敗の原因を知り、対策を学んで備えるのが重要です。
この記事では、一般的にマンション投資で陥りやすい失敗の事例と、失敗しないためにはどんなことに気をつけたらいいのか、具体的な対策をご紹介しましょう
◆マンション投資の失敗事例
1.収益率低下で節税に失敗したケース
・資産は現金で保有するより、不動産の形にするほうが所得税や相続税の課税対象額を抑えられる。
・そのため、節税目的でマンションを購入した。
・節税が目的だったので、利回りや周辺需要などはあまり調査せずに物件を決めてしまった。
結果:歳月の経過で節税効果がなくなり、運用収支がマイナスに・・・。
節税目的のマンション投資は、手持ち資金を不動産に変えた時点で目的が達成できてしまうため、あまり物件の収益性を重視することなく始められるケースも少なくありません。
そのような場合、運用開始から数年で収支がマイナスになってしまう可能性も十分にあるので注意してください。
また、マンション投資による所得税の節税効果は、一定期間で失われてしまいます。
「マンションの購入費用を『減価償却費』という帳簿上の経費として毎年計上し、その金額分だけ所得税の課税対象額を抑えられる」というのが、マンション投資による所得税節税の仕組みです。
しかし、この減価償却費を計上できる期間には限りがあり、鉄筋コンクリート(RC)なら47年、重量鉄骨の場合は34年・・・
というふうに、建物の種類別に定められています。
この期間をすぎると節税効果は得られなくなってしまうため、最悪の場合は数十年後「老朽化して節税効果もなくなった物件だけが手元に残った」という状況に陥ってしまう恐れもあるわけです。
失敗しないためには:
たとえ節税目的であっても、可能な限り最初から物件の収益力を高める努力をしておきましょう。
たとえば、他の条件が同じであれば、できるだけ購入価格の安い物件を選んだほうが、より少ないリターンでも収支をプラスで維持することができます。
また、あえて新築ではなく中古マンションを選ぶのもいいでしょう。
中古マンションは新築と異なり、販促費などが価格に上乗せされていないため、最初から利回りが高くこちらも採算割れしにくいといえるからです。
2.値上がりを見込んだが、逆に値下がりしてしまったケース
・手っ取り早く儲けるために、値上がりしそうなマンションを買うことにした。
・家賃収入で利益をあげるのは時間がかかるので、待っていられない。
・将来発展が見込まれる土地の物件を選んで購入すれば、売却で利益が得られるはずだ・・・。
結果:思ったように値段は上がらず、損失を抱えて売却する羽目に・・・
マンションは土地と違い、時間とともに朽ちていくものです。
基本的には時間の経過とともに価値は増えるのではなく下がっていくと考えてください。
それを忘れていると値上がりを期待して買った物件が逆に値下がりして損失を抱えてしまうことになります。
失敗しないためには:
稀に都市開発や企業誘致、公共機関の移転などによって一部の地域でマンションの需要が高まり、購入時よりも値上がりして売却できる場合もあります。
しかし、個人的な調査や判断だけでこうしたチャンスをものにするのは難しいので、必ずプロである不動産業者に相談するようにしましょう。
3.サブリースの家賃更新で失敗したケース
・マンションの管理業務は面倒なのでサブリース(一括借上)契約で業者にすべて任せることにした。
・契約期間は30年、家賃は固定額が保証されている。
・自分は一切管理の手間を掛けず、家賃収入を受け取っているだけでよい。
結果:保証家賃の見直しによって収入が激減
マンション経営は一般的に管理業務だけを業者に委託する方法と、マンションを丸ごと管理業者に貸出し、入居者の募集から一切を任せる「サブリース(一括借上)契約」があります。
運営のすべてを業者に任せ、オーナー自身は賃料だけを受け取れるため、負担の少ないサブリース契約ですが、それが原因で失敗してしまう場合もあるので注意してください。
サブリース契約は、通常10~30年程度と比較的長い契約期間が設定されている場合が多いものの、保証家賃(家賃のうち、オーナーが受け取れる部分)の見直しは2年程度と短いスパンで行われる場合がほとんどです。
そして、多くの場合、マンションが老朽化して入居者を見つけるのが難しくなると、管理業者は家賃の減額を提案してきます。
そのため、「最初の保証家賃を契約期間終了までずっと受け取れる」と勘違いして、運用に失敗してしまう方が少なくないのです。
「家賃の減額を断るなら契約を打ち切る」と言われ、不本意ながら減額に応じなければならない事態に陥ってしまうかもしれません・
失敗しないためには:
大前提として、サブリース契約は「契約期間と家賃見直しのタイミングが異なる」ということを理解しておきましょう。
その上で、契約を結ぶ際に解約の条件など、サブリース契約のデメリットもよく調べあげておく必要があります。
さらに最初からサブリース契約ありきでマンション投資を進めるのもよくありません。
通常の管理委託とどちらがいいか、きちんとメリット・デメリットを比較した上で採用する管理方式を選択してください。
4.周辺地域の変化で入居者が激減したケース
・近隣に有名な私立大学がある立地のマンションを選んで投資した。
・大学関係者の入居が見込まれるので、一定の需要が保証されていると考えた。
・大学が存在し続ける限り、安定した運用ができるはずだ・・・。
結果:頼みの私立大学が急に移転、需要が激減し空室が大量発生
大学や企業の工場などは、保有する団体の都合によって移転してしまうことも当然あります。
そうなると、移転後はその施設の利用者がいなくなってしまうわけですから、マンション需要は大きく冷え込むことになるでしょう。
たとえその時点で売却を決断したとしても、需要が減っているわけですからマンション自体の価格も大幅に引き下げなければならないはずです。
失敗しないためには:
ひとつの大学や企業に依存した物件選びはリスクが高いため避けましょう。
「駅からの距離が近い、公共施設が近い」というふうに、複数の条件で需要が見込まれる地域を選ぶ方が安全性を高められます。
5.フルローンで失敗したケース
・「自己資金がなくてもできる」という話を聞き、フルローンでマンション投資を始めた。
・家賃収入はローンの支払いに充てる計画だった。
・得られる利益は少なくなるが、完済すれば生活も豊かになるはずだと考えた。
結果:思ったほど運用がうまくいかず、想定していた収益を上げられなかった。
フルローンでマンション投資を行うことは、理論上は可能ですが、得られる利益が必要な金額に足りないとローンの支払いにも支障をきたしてしまいます。
結果的に生活費を切り詰めざるを得ない状況に追い込まれる場合もあるので、自己資金がある場合よりもハイリスクな投資になるといえるでしょう。
失敗しないためには:
マンション投資に限らず、資産運用の基本は自己資金とローンをバランス良く組み合わせて行うことです。
目安としては、ローンの金額が総費用の40%以内に抑えられるように自己資金を用意して投資を始めるようにしてください。
◆マンション投資で失敗しないためのポイント
最後に、今回ご紹介してきたような失敗を避けるために、マンション投資で特に気をつけておくべきポイントをご紹介しましょう。
1.投資するエリアの需要と不動産価格の相場を調べる
投資するエリアの市場調査は、マンション投資の基本です。
投資したい地域に安定して強い不動産需要が存在しているか確認し、投資物件と同等の条件で相場価格を調べておきましょう。
市場調査を行うのは、マンション投資のリスクとリターンを自分自身で性格に見積もるためです。
それだけで、単なる節税目的やマンションの値上がり狙い、特定の施設に入居者を依存した投資といった失敗しやすい方法から脱却することができます。
2.運用期間を通じて必要になる費用を見積もる
マンション投資では、以下のような費用が必要になります。
自分の場合、どのくらいの費用が必要になるか投資を始める前に計算しておきましょう。
【運用中に必要になる費用】
・修繕積立金
・維持費
・不動産投資ローンの支払い
修繕積立金と維持費を見積もれば、サブリース契約に頼らず自力でマンションを管理する道も開けます。
ローンの支払額を計算しておくことで、自己資金とのバランスの取れた投資を行うことが可能です。
3.リスクを見越して余裕のある運用計画を立てる
マンション投資には、以下のようなリスクがあります。
【マンション投資のリスク】
・空室リスク
・家賃の下落リスク
・金利の上昇リスク
・周辺需要が変化するリスク
マンション投資のよくある失敗例は、すべて「当初の想定とは違う事態が起きてしまった」ことが問題の根本的な原因でした。
従って、運用計画を立てるときは単に正確な計画を立てることだけに気を配るのではなく、「予想とは違うことが発生するリスク」も考慮しておかなければなりません。
前述したリスクの存在を踏まえた上で、十分に余裕のある運用計画を立てましょう。
◆まとめ:必要な知識を自分で身につけることが失敗しない最大のコツである
マンション投資は、始めるにあたって必要な知識が多く、初めての方にはなかなか理解するのが難しいかもしれません。
しかし、だからといって考えることを止めてしまい、少しでも簡単そうなやり方に飛びついたり、よく調べもせずに思い込みだけで計画を進めたりすると失敗してしまいます。
大切なのは、自分自身で必要な知識を身につけること。
それが最も大切な「マンション投資の失敗を防ぐポイント」だと覚えておいてください。