マンション投資に利用できる、不動産投資ローンの特徴
近年、不動産投資用のローンが以前よりも手軽に利用できるようになりました。
ローンを利用すれば、自己資金が少なくともマンション投資をすることができます。
ローンであるからには「返済」のことまでをきちんと考える必要がありますが、利用することで得られるチャンスは非常に大きなもの。
不動産投資ローンのことを正しく理解して、ご自身の投資にも生かしましょう。
この記事では、住宅ローンと比較しながら、不動産投資ローンについて詳しく解説します。
マンション投資に利用できる、「不動産投資ローン」とは?
不動産関連のローンで身近なものには、「住宅ローン」があります。これは自分の住宅を購入するために金融機関から受ける融資のことです。投資のためのローンを理解する際、住宅ローンと比較するとわかりやすいと考えられます。
(1)審査/不動産投資ローンのほうが、住宅ローンより厳しい
不動産投資ローンにも、他のローンと同じように審査があります。
審査の基準は住宅ローンよりも厳しいものだと言えるでしょう。
本人の信頼度だけでなく、不動産の価値が重視されます。
◆審査されること/不動産について
・不動産の「収益性」
…賃貸物件としての家賃収入、実質利回りなど。
・不動産の「担保価値」
…「資産価値」となります。具体的には、「売却した場合、いくらになるのか」を示します。
【価値を評価される際に利用されるもの】
・国土交通省地価公示
・都道府県地価調査
http://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=2&TYP=0
・路線価図
・評価倍率表
・固定資産税評価額
市町村が不動産に対して課す税金の評価根拠
◆審査されること/個人について
・現在の借入状況、返済履歴
あまり他の借り入れが多すぎると、返済が困難になる危険性があるとみなされます。
・税金の支払い状況
税金の未納や延滞がないかどうかを確認されます。
ローンの返済が難しくなった際、税金は優先的に支払うことになるためです。
銀行としてはローンの回収が難しくなることになるので、この点も審査されます。
・返済負担率(総返済負担率、返済比率)
年収に対する年間返済額(元金と利息)の割合のことを「返済負担率」といいます。
単純に年収が多ければいいというわけではなく、年収に見合った融資かどうか(返済可能だと考えられるかどうか)が審査されます。
・職業や職種、勤続年数など
収入の安定性などが審査されます。
※なお、細かな審査や審査基準については、金融機関によって異なります。
(2)金利は2〜5%で、住宅ローンと比較しても高い
審査の内容から考えても、不動産投資ローンは住宅ローンより、融資する金融機関側のリスクが高いということがわかります。
そのため、金利も高めです。
【住宅ローンの金利】※2017年
・変動金利 0.5~1%前後
・固定金利 0.7%~3%前後
(主要都市銀行の場合。固定年数によっても異なる)
【不動産投資ローンの金利】
・2~5%程度
参考:価格com.住宅ローン金利比較 http://kakaku.com/housing-loan/rate/
『金利が低い=借りにくい』という関係を覚えておきましょう。住宅ローンも、主要都市銀行よりネット銀行のほうが、金利が高めです。
【金利】都市銀行<地方銀行<信用金庫<ノンバンク
【借りにくさ】都市銀行>地方銀行>信用金庫>ノンバンク
不動産投資ローンを利用することのメリット・デメリット
借金はできるだけ避けたいものですが、不動産投資ローンを利用することによるメリットもあります。
デメリットがある点は十分理解し、メリットを生かす方法を考えましょう。
◆不動産投資ローンを利用するメリット
・自己資金が少なくても投資ができる(レバレッジを効かせることができる)
不動産ローンを利用することで、少ない自己資金では期待できないほど高い収益性を実現することが可能になります。
こういった「自己資金以外の資金により、自己資金のみの何倍もの取引を行うことができる」ということを、「レバレッジ(Leverage)」、「レバレッジ効果」「レバレッジを効かせることができる」などと言います。
これにより、自己資金が貯まるまで待つこともなく、タイミングを逃さず不動産を購入することもできます。
◆不動産投資ローンを利用するデメリット
・空室などで家賃収入が減ると、ローンを返済できない危険性が増える
不動産投資による収入は、部屋の貸し出し状況や設定した家賃により変動するものです。
収入の変動は十分予測しておかなければならないものですが、例えば「空室の期間が長い」など大幅な収入減があると、ローンを返済できなくなり、物件を手放したり、さらには自己破産や任意整理といった債務整理までが必要となるケースも。
『安定的に収入を得られる物件=空室リスクが低い物件』を選び、回避する必要があります。
また、物件を手放すことになった際、物件を売却した金額でローン残債をなくすことができればいいのですが、売却のタイミングにより残債が残る危険性もあります。
「その融資を受けるだけの価値が、この物件にあるかどうか」を適切に判断することは、不動産投資ローンを利用するデメリットを減らすことにもなると考えましょう。
住宅ローンと不動産投資ローンに関する疑問
住宅ローンと不動産投資ローン。目的は違っても、不動産に利用するローンであることは変わりません。
次のような疑問についてご説明します。
Q.住宅ローンを借りていてもマンション投資用ローンは使える?
A.可能です。ただし、十分な融資を受けられない場合も。
自分の住まいのために住宅ローンを組んでいる場合でも、不動産投資ローンを組むことは可能です。
ただし、不動産投資ローンでの借入可能額は、住宅ローン残債分だけ減額されることになります。
Q.住宅ローンで投資用物件を買うことは可能?
A.可能な場合もあります。違法に当たることもあるため、注意が必要です。
住宅ローンを組み、その住宅ローンを利用して投資用の物件を購入することは可能です。
ただし、金融機関やその商品、条件によるところが大きいため、事前にきちんと確認する必要があります。
例えば、投資用のアパートを購入し、そこに「自分や家族も住む」ということであれば、利用できることも多いようです。
気を付けなければならないのは、自分も住む予定であると「虚偽の報告」をした場合です。
住む予定があったのに住めなくなった…といった場合にはまだ説明の余地がありますが、予定がないのにあることにして不動産投資ローンを組んだ場合、詐欺行為(違法)に当たる可能性があります。
Q.住宅ローンで投資用物件を購入したことが金融機関にバレたら?
A.引き続き住宅ローンを利用することができなくなるケースが多いです。
これも金融機関により対応が異なりますが、「一括返済を求められた」「不動産投資ローンに切り替えられた(金利の変更)」などの事例もあります。さまざまな事情から、引き続き利用できたケースもあるようですが、やはり「信頼を落とすかもしれない」という大きなリスクを負うことになります。「最悪のパターン」を考えて、行動するようにしたいですね。
不動産投資ローンのメリット・デメリットの両側面を考えて
マンション投資に利用できる不動産投資ローンの特徴をご説明しました。
不動産投資ローンを利用すれば、投資の可能性は広がります。
ですが、自己資金ありきの堅実さに比べれば、やはりリスクは大きいものです。
「借り入れは小さく」という原則を忘れないようにしましょう。