マンション投資において、どんな物件を購入するかというのは、その後の利益を左右する大きな要因となります。
ここで問題になるのが、「新築物件」か「中古物件か」ということです。
それぞれにメリット、デメリットはあり、一概にどちらがよいとは言えませんが、いざ物件を購入するとなると「新築だからよい」「中古だからよい」という、
偏った考え方になりがちです。
あくまでも個々の物件について冷静に判断できるよう、新築・中古それぞれどんな特徴があるのかを把握しておきましょう。
新築物件のメリットとデメリット
まずは新築物件のメリットとデメリットを検証してみましょう。
ご自身が住まう賃貸物件を探す際も「どうせ住むのなら新しくて綺麗な物件がいいな」「でも、家賃は高くなるな」など思いつくことはあると思います。
このあたりをもっと具体的に考えていくと、人々のニーズも見えてくるものです。
新築物件の特徴は、ひとことで言えば「新築としての価値がある」ということになります。
【新築物件のメリット】
・資産価値が高い(売却した際、中古よりも高く売れる可能性が高い)
・新築というだけで客寄せができる
・空室率が低くなる
・修繕費がかからない
・自分以外の所有者がいないため、トラブルが少ない(家賃延滞などがない)
・金融機関からの融資を受けやすい(自己資金が少なくとも投資しやすい)
・最初だけは節税ができる
【新築物件のデメリット】
・購入価格が高い
・利回りが低くなる
・「新築」である期間は全体から見て短く、資産価値はすぐに落ちる
※新築の資産価値について
新築の資産価値は、1度入居者があるだけで落ちてしまいます。
また、5年以内でも購入時の70%ほどに落ちると考えられます。
中古物件のメリットとデメリット
中古物件は新築としての価値はありませんが、「古い時代に建築されたことによるメリット」「情報量が多いことによるメリット」があります。
【中古物件のメリット】
・購入価格が低い
・利回りが高い
・駅近などのよい立地にある場合が多い(最近の物件は駅から離れた「まだ空いている土地」に建てられる)
【中古物件のデメリット】
・資産価値が低い(売却した際、新築よりも高く売れない可能性が高い)
・空室率が高くなる傾向がある(物理的な劣化、デザインが流行遅れになるなど)
・トラブルを抱えた物件である場合もある
・家賃や空室率などを計算するための情報が多い(リスクヘッジできる)
・新築よりは融資を受けにくく、まとまった額の自己資金が必要となる
※中古物件の資産価値について
中古物件の資産価値は新築より低いのですが、「落ちる一方」と考えるのは危険です。
例えば、オリンピック関連で東京都の一部の中古物件の価格はあり得ないほど上がっています。
もちろんこの流れには「終わり」もあります。
エリアだけでなくタイミングにより販売価格は大きく変わるため、注意が必要です。
数十年先のことを考えて新築か、中古かを考える
新築がいいか、中古がいいかと考えるときには、投資を行う上での「数十年後」を想定してみると、多くのヒントがあります。
【将来の比較】
新築 | 中古 | |
資産価値 | 「新築」としての資産価値はなくなり、中古としての扱いとなる | 年数に応じて資産価値は落ちる |
家賃 | 多少は落ちるが、その後10年程度は維持できる可能性が高い | 年数に応じて落とす必要はあるが、他のニーズによっては落とさなくても借り手が見つかる場合もある |
修繕費 | 徐々に増える可能性がある | 確実に増える |
◆新築
・資産価値としては急激に落ちるので、早々に売却しても同じ価値では売れないことを理解しておく必要があります。
・10年ほどは新築としてみなされるため、すぐに家賃が落ちる心配はありませんが、「新しいことによる魅力」はなくなるため、家賃は他のニーズに大きく影響を受けることになります(エリアニーズが低ければ、家賃も下げなければなりません)。
・新築のメリットは「最初だけ」という意識を持つ必要があります。
◆中古物件
・資産としての価値が下がり「売れなくなる」ということも考え、「出口戦略」を意識する必要があります。
※出口戦略とは
「どのようにして損失を最小限に物件を手放すか」ということの戦略です。
詳しくは、『8.不動産投資は儲からない?マンション投資のメリットとは』をご参照ください。
・家賃については新築よりは落ちるのですが、築年数と完全に比例させる必要もなく、落ち着く場合があります。
・確実に増えていくのが修繕費用です。大規模な修繕が必要になる前に、対策を考える必要があります。
結局、マンション投資にはどんな物件がいいのか
マンション投資に適切な物件が新築、中古だけで判断できないとして、それらのメリットを生かし、
デメリットを小さくするには、どのようなことに配慮したらいいのでしょうか。
◆家賃の急降下を防ぐには…
・好立地にある物件
新築以降の家賃は、築年数よりは「エリア」に影響を受けやすいと考えられます。
駅に近い、買い物に便利、地方であっても特定の職場や大学に近く「稼働率が高い」などの点があると、
賃貸のニーズも落ちず、家賃が急激に落ちることがありません。
新築であっても不便な場所であれば急に家賃は下がってしまいますので、どんな立地にある物件かをリサーチしておくのは非常に重要です。
・物件そのものに魅力のある物件
管理費とのバランスも問題になりますが、物件そのものに「古くなっても魅力的である」という部分があれば、付加価値は上がります。
付加価値は間取りのように「後から変えられないもの」だけでなく、無料Wi-Fi/宅配ボックス/壁紙を変えられる・選択できる/家具家電付き/カーシェアリングサービスつき なども考えられます。
例えば、ベランダが狭く洗濯に向かない独身向けの部屋も、乾燥機が利用できれば価値は変わります。
これも、家族向けの場合は限界があるなど、ターゲット層を考える必要があります。
◆中古物件のトラブルを回避するには…
・情報量の多い物件(あるいは、物件を集める努力をする)
レントロール(賃貸履歴)や建物の管理状況など、物件の現在の状況を確認することができる物件であれば、さまざまなリスクを避けることもできます。
とはいえ、イコール新築がいい(=レントロールがない)というわけでもなく、これは調べることもできるので、調査次第で中古のデメリットをクリアすることも可能です。
・建てられた年代の法律に注意
建物に関する法律は、年代ごとに違います。
例えば、バブル前後は保証に関する意識が甘い時代であり、欠陥のある物件にあたってしまうことも少なくありません。
法律については必ず確認するようにしましょう。
国土交通省ホームページ
住宅の品質確保の促進等に関する法律について
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000016.html
なお、考え方のひとつではありますが、「比較的新しい、しかし古くない」という物件が狙い目という考え方もあります。
新築から中古へという大きな変化がない、かつ、大規模な修繕がまだ必要ない辺りです。
ここまでの説明も踏まえ、参考にしてみてください。
新築、中古、それぞれのメリット、デメリットを把握して投資を
結局のところ、儲かるかどうかはその物件によるものです。
物件の新しさから「どちらがいい」という言い方はできません。
また、同じ中古であっても、建物の特性と築年数によっては修繕費の違いが出ます。
「新築だからよい」「中古だからよい」という安易な考えにならないよう、十分な知識を得て物件を決めていきましょう。
後からの工夫で付加価値を増やし、カバーできる面もあります。
特別なイベントや人の移動などで、エリアの稼働率が変わる可能性も大いにあります。