ワンルームとファミリータイプ、マンション投資はどちらを選ぶべき?

マンションは大きく分けて、単身者向けの「ワンルームタイプ」と、子育て世帯向けの「ファミリータイプ」の2種類があります。

投資対象として見る場合、果たしてどちらのほうが優れているのでしょうか?それぞれのメリットとデメリットを比較してみました。

ワンルームとファミリー向けマンションで迷う

◆ワンルーム投資のメリット・デメリット

-メリット

①表面利回りが高くなる

1室の広さを比較すると、ワンルームタイプはおよそ20~30平方メートルなのに対して、ファミリータイプは40~60平方メートルと広さが倍近く違います。
しかし、一室の広さが倍になっても家賃設定を倍にできるわけではありません。
エリアなどその他の条件が同じ場合、ファミリータイプ一室の家賃はワンルームタイプの1.5倍程度に留まる場合がほとんどです。
そのため、1棟トータルの広さが同じであれば、ファミリータイプよりもワンルームタイプのマンションの方が利回りは良くなります。

表面利回りを比較すると、ワンルームタイプが5~7%なのに対して、ファミリータイプは3~5%程度が相場だと覚えておきましょう。

②空室が生じにくい

ワンルームタイプは単身者向けなので、子育て世帯向けのファミリータイプに比べて入居者の腰が軽いのが特徴です。仮に空室が生じても、すぐに次の入居者が見つかる可能性が高いというメリットがあります。

また、日本では晩婚化・少子化が進んでいるため、入居希望者の絶対数という部分でも単身者を対象としたワンルームタイプは子育て世帯向けのファミリータイプのより有利です。

③入退去時の修繕費用が少なくて済む

1室あたりの広さがファミリータイプより小さいため、入退去時の修繕費はファミリータイプより安くなります。
広さが狭い分、修繕にかかる時間も短く済むので、すぐに次の入居者を探し始められるのもメリットです。

④投資用資産して活用しやすい

ワンルームタイプは、ファミリータイプに比べて1棟あたりの購入価格が安くなり、初期資金が少ない状態でも投資を始めやすいといえます。
1棟あたりの大きさを同じと仮定すると、1室あたりの広さの違いからファミリータイプより購入できる戸数が増えるため、空室が生じても利益全体に与える影響は限定的です。

このように、投資用不動産として活用しやすい魅力を備えており、それに加えて自宅用としての需要もあるので、売却時にも買い手を見つけやすいというメリットがあります。

 

-デメリット

①入退去が頻繁に起こりやすい

「入居者の腰が軽い」ということは、すぐに引っ越してしまう可能性もあるということです。
入居者が退去すると、オーナーは次の入居者のために修繕を行わなければならず、手間とコストがかかってしまいます。
ファミリータイプに比べて入退去が起こりやすい点は、見方を変えればデメリットであるとも言えるのです。

②入退去の時期が3~4月に集中しやすい

単身者の多くは、大学入学や就職・転勤の時期に当たる3~4月に入退去する傾向にあります。
この時期に空室が発生し埋まらないと、翌年まで入居者が見つからない可能性も高いので注意しなければなりません。

③設備費、修繕費が多くかかり、実質利回りが低くなる

入居者の腰が軽いことに加え、購入費用が同じ場合の戸数がファミリータイプより多いこともオーナーの負担を増加させてしまいます。
部屋数が多い分、エアコンやキッチン・バスルームなど水回りの住宅設備や、壁紙・床・天井の張替えなどにかかる設備費の負担も増えてしまうからです。
設備費・修繕費が多くかかるため、表面利回りと実質利回りの差がファミリータイプに比べて大きくなりがちな点に気をつけてください。

 

◆ファミリータイプ投資のメリット・デメリット

-メリット

①入居者が長期間安定しやすい

ファミリータイプの入居者である子育て世帯は、子どもの通学などの関係から一度居住すると数年間は引っ越さずに暮らし続けるケースが多いです。
そのため、空室が発生しにくく、入退去に伴う設備費・修繕費もかかりにくいメリットがあります。

②住民トラブルが起こりにくい

単身者に比べて子育て世帯は年齢も高く、近所付き合いをする機会も多いため、住民トラブルが発生しにくい傾向にあります。
オーナーの立場から見れば、住民同士のトラブル調整などの手間があまりかからなくなるので、管理しやすいといえるでしょう。

③入退去が特定の時期に集中しづらい

子育て世帯は家族構成や父・母の仕事など立場が多様なので、その分住宅需要も多様です。
入退去の理由も様々なパターンがあり得るため、特定の時期に入退去が集中することはありません。

子どもの進学に伴う引っ越しなどの場合も、夏休み・冬休みなどを利用して計画的に行う世帯が多く、
特定の時期を逃すと空室が長期間続きやすいワンルームタイプとは対照的です。

 

-デメリット

①表面利回りが低くなる

1室あたりの広さがワンルームタイプに比べて2~3倍程度必要な割に、家賃は1.5倍前後に留まるため、表面利回りはワンルームタイプよりもよくありません。

②1室あたりの修繕にかかる手間が増える

1室が広くなるため、その分修繕に時間とコストがかかってしまいます。
修繕中は入居者募集もできなくなるため、退去者が出るたびに原状回復の負担が重くのしかかってしまうことになるでしょう。

③資産としての流動性が低い

ワンルームタイプに比べて表面利回りが低い、購入費用が高いなどの点で運用のしやすさが劣るため、
いい物件を見つけるのが難しく、同様に次の買い手を見つけるのも容易ではありません。
このように資産としての流動性が低い欠点から、売却して手放そうにも買い手がなかなか見つからない場合もありうるので注意してください。

 

◆両者を比較するために重視すべきポイント

このようにワンルームタイプとファミリータイプでは、メリット・デメリットが大きく異なるため、運用において注意するべき点も異なります。
それぞれ次のような点に注意して投資するようにしましょう。

・ワンルームマンション投資で重視すべきポイント

入居者のニーズが画一的なため、競争力の高い物件に人気が集中する傾向にあります。
「駅から近い」、「周辺の利便性が高い」など好立地な物件や、「コンビニが近い、セキュリティがしっかりしている」、「設備が新しい」といった単身者にとって暮らしやすい条件を備えた物件を選ぶのがおすすめです。
もちろん、複数の条件を兼ね備えた物件があればさらに言うことはありません。

・ファミリータイプマンション投資で重視すべきポイント

ワンルームより利回りを高めるのが難しくなるため、リスクを低減して安定性を高めることを第一に考えてください。

立地に関しては、「人気のある学区である」、「大型商業施設がそばにある」など需要が安定している点を重視しましょう。
購入価格が高くなりやすい新築より中古のほうが表面利回りは良くなる傾向にありますが、逆に修繕費・管理費は築年数が経つほど高くなりやすいため注意が必要です。
価格と維持費、両方のバランスを重視して、「最もトータルのコストが安く、リターンが期待できる物件」を選んでください。

・物件選びの決め手は「ライバルの数」

ワンルーム投資は利回りでは、ファミリータイプに勝りますが、その分競争が激しくライバルとの戦いにさらされる危険もあります。
一方、ファミリータイプは利回りこそ劣るものの、競争相手は少なくなるのでライバルの少ない物件を選べば長期的に安定した投資を行いやすいのが利点です。
用意できる初期資金の額から、ワンルームタイプとファミリータイプ、それぞれでどんな物件が投資対象の候補になるか実際に調べてみましょう。
その上で、よりライバルの少ないエリアを選んで投資物件を決めるとマンション投資が成功しやすくなります。